数週間前から左手の人差し指に水泡ができ、それがめっぽう痛かった。
そのうちに治まるだろうと踏んでいたのだが、今週になってもまだ痛みが引く気配がなく。
仕方がないので、今日遂に皮膚科に行ってきた。
医者はベテランのおじいさん先生。
先生は虫眼鏡でしばらく僕の指を凝視して、言った。
「これはウィルス性のイボですね」
何それ?と思ったが、すかさず「治りますか?」と訊いたら、
自然治癒する場合もあるし、大きくなる場合もある、とのこと。
つける薬はなく、焼いて死滅させるだけだと言う。
その時点でものすごく嫌な予感がしたのだが、
「やりますか?」と訊かれた時、僕は反射的に「はい」と答えていた。
もう病院にいるのだ。ためらうこともない。
すると先生、再度確認するように「痛いですよ」と言う。
そこには「やめてもいいんですよ」というニュアンスが混じっていた。
何を言うのか。40を越えて「じゃあ、やめます」とは言えない。
僕は覚悟を決めて「お願いします」と言った。
気づけば背後から看護師が、
グツグツグツと音を立てる銀色のポットのようなものを持って現れた。
(説明はされなかったけど、多分ドライアイスが入っていたのだろう)→注1
おじいさん先生はそこに柄の長い綿棒をつけ入れた後、
僕の指の患部に綿棒をじゅーっと強く押し当てた。煙りが出た。
指には丸い真っ白な痕が残る。
それが5回ほど入念に繰り返された。
実はその最中の痛みはそうでもなかったのである。
水泡のため指の皮が厚くなっていたからであろうか。
処置はそれで終わり。
僕は少し拍子抜けしたぐらいの気持ちだった。
しかし、病院を出てからだ。ジンジンと刺すような痛みが出てきた。
脈打つように痛みが満ち満ちてくる。
言ってみりゃ、これはヤケドと同じである。
どうせならヤケドの薬を塗ってくれればいいようなものを、
これはあくまでイボの治療なので、そういう処置はしてもらえなかった。
とりあえずこれで様子を見て、
また1週間後に経過を見せに行くことになっている。
おじいさん先生曰く、治ってなかったら再度この荒療治を繰り返すそうである。
頼むから、これですんなり治って欲しい。
注1:液体窒素です。