2006年2月5日日曜日

黒田硫黄、あらわる。

ニュー・アルバム『スワン』発売まであと一週間を切った。
早く皆様に聴いてもらいたいなー。
今回はポップですよ、ポップ。
シンガーソングライターとしての節度、矜持は保ちつつもポップ。
歌詞も全く手ぬるくはなってないけれど、ポップ。
自分の音楽に対してあれこれ言うのは照れるけど、
これだけは言わせておくれ。
「7(セブン)」は自分史上最強の1曲です、マジで。
楽しみに待っていて下さい。


ずるっと角度をかえて、ジャケの話題でも。
今回ジャケ画を担当したのは御存知、黒田硫黄氏。
某出版社を通じて出来上がったばかりの音源を聴いてもらいジャケ絵を依頼(用意出来るギャラが心許ないので音楽自体を気に入ってもらえることが大前提だった…)、
で、それを承諾してもらった。
初めはFAXだけで連絡を取り合っていたので一寸不安だったけど、
その後、恵比寿の喫茶店で初顔合わせ。
その時はやけに興奮したものだ。
調子こいて本人の前で黒田硫黄論、語るなっつーの。
いや、実は僕は前々から黒田硫黄ファンで、
1998年に『魂を救うだろう』でデビューした時に、それを速攻で黒田さんに送っているのだ。
いつかジャケットを描いてもらおうと思って。
もう8年近く前の話。
今回初めて会った時にそれを黒田さんが仰ってくれて(僕の方が忘れていた)
嬉しくて妙にテンション上がってしまったんだよなぁ。
で、話はトントン拍子で進んだ、と。

仕事ぶりに関して言うと、本当こちら側は文句なしの仕事ぶりだった。
内ジャケからCD盤面まで、ほぼ全体に渡って描いてもらっているのだが、全カット唸った。
打ち合わせの時でも、さらさらっと鉛筆で下絵を描くその絵ひとつひとつがいちいち巧いのも感心した。
(当たり前だっつーの)
あと下絵だけじゃなく、完成した絵に手直しするのも、さらさらものの豪快さで驚いた。
例えばジャケット表面の「ブランコに乗っている男性の足」に斜線が入っているのだが、これは黒田さんが出先のデザイン事務所で、急に思い立ってカクカクと描き加えたもの。
しかもその辺に転がっていたペンで。
そんな簡単なもんなのか?
躊躇なんて露ともしてないな、と固唾を飲んで後ろから見てたよ、僕なんか。
で、それにより絵がまた良くなったような気がしたんだから、また感心したんだよな。

10年以上前、コインランドリーに置いてあったアフタヌーンで『大日本天狗党絵詞』を初めて読んだ時に同世代の若人の喝破するエネルギーを感じて、
実際その人が僕と同い年だと知った時に感じたあの“歓喜”を求めて
今回ジャケットをお願いしたのであるが、本当それは正解だった。
(ちなみに黒田さんと僕の生年月日は2週間違い)
あれから10年以上が経ったけど、今回も見事に“歓喜”したよ。
黒田さんには大きく感謝したい。
そして支えてくれたレーベル、ディレクションズにも多大なる謝辞を。
(ちなみついでにアート・ディレクター加藤君とも、これまた生年月日が近いんだよな)

BGM: