2024年7月29日月曜日

The Decemberists、かつてそうであったように、これからも〜


前回の記事を書いたなら、The Decemberistsの新作をスルーすることはできまい。
先月発売になった6年振りの『As It Ever Was, So It Will Be Again』。
オーセンティックな音作りに戻ってきていて、
上記はアルバム後半に盛り上がる1曲。
「アメリカが私を作り上げた」という題名にして「何か甘いものをくれ/何か眠れるものをくれ」と歌われる。
近年は小説も書いているコリン・メロイの作家性が大いに出てます。
デビュー時から言葉重視なことに変わりないですね。

Bandcamp:The Decemberists→こちら

2024年7月26日金曜日

Daisy Rickman、2024年、幽玄サイケ・フォークの極北。


DiscogsでThe Decemberistsのコリン・メロイがおすすめ5選をやっていて(→こちら)、
そこで知った英国コーンウォール州の女性SSW。
英語じゃなくコーンウォール語で歌われているらしく、
全然言葉の意味は分からないが、
なんとなくフォークの核心に迫った歌世界がどどーんと広がっている気がする。
VUのジョン・ケイルみたいなアプローチのチェロ通奏にはサイケ臭がぷんぷん。
どうやら楽器は彼女が全部ワンマンで録音しているみたいだ。すごい。
気になる方は彼女のYouTubeチャンネルでのカヴァー歴も見てみましょう。
その選曲にきっと膝を打つはず。

Bandcamp:Daisy Rickman→こちら

2024年7月24日水曜日

Bruce Springsteen、『ボーン・イン・ザ・ U.S.A.』40周年日本独自企画盤


僕の人生のベストライブ体験は、父親と観に行った1985年4月のブルース初来日の京都公演だ。
何を隠そうそれが洋楽ライブ初体験で、僕はまだ中学生だった。
(HIGH HOPES:京都公演の記事→こちら、デイヴ・マーシュ著「グローリー・デイズ」P317参照)
それを越えるインパクトは今後訪れることはないだろうなと思う。
なんせ初ライブが全盛期絶好調のブルースさんだ。数日は放心状態でしたよ。

ということで、この素晴らしき日本独自企画(→Sony MusicHIGH HOPES)。
これは絶対に買わなければならない。ありがとう、ソニーさん。
上記曲は収録予定の「Bobby Jean」。
男の友情ソング史上ナンバー1と呼ばれる(僕が呼んだ)名曲。
当然京都でもやってくれた。その光景を今でも鮮明に憶えている。
最後の「Good luck、Goodbye」が泣けるんだよなぁ。

参考までに・・・
過去の記事:徳永憲、影響を受けた10曲→こちら

2024年7月22日月曜日

Major Murphy、夏はけだるいねぇ。


3年振りに取り上げるメジャー・マーフィー(→過去の記事)。
メンバーに変動があって、トリオ・バンドになってます。
先週に新作3rd『Fallout』が出ていて、上記MVはそこからのリード曲。
基本まったり路線ですが(アルバムには変化球的なインストもあり)、
好きな人には通じるヴィンテージ・USインディー・ポップネスを充してます。

Bandcamp:Major Murphy→こちら

2024年7月18日木曜日

Bette Smith、枠いっぱいのアフロを。


米ニューヨーク・ブルックリン育ちのソウル・シンガーの、
先週リリースとなった3rd新作『Goodthing』のタイトル・トラック。
ハードロック・リフ意匠を効果的に配して、陽気にかましてくれます。

Bandcamp:Bette Smith→こちら

2024年7月15日月曜日

Clairo、自己流スウィート・ソウル。


米アトランタ生まれボストン育ちの現在25歳、クレイロの評判のいい3rd新作『Charm』。
期待を込めて聴きましたが、その期待を上回ってくる出来の良さでした。
バックにSharon Jones & The Dap-Kings絡みのミュージシャンを起用しつつも、レトロ・ソウルっぽさを前面には押し出さない独自の世界を展開してくれている。
ちゃんとベッドルーム感が残っていて、パーソナルな楽曲の成り立ちが尊重されている。
アルバムの構成もいいし(特に後半)、これはしばらく聴き込めそうだ。
ところでクレイロさん、今回で初めての国内盤リリースというのは驚いた。
とっくに1st、2ndも出てると思ってた。

Bandcamp:Clairo→こちら

2024年7月14日日曜日

The Get Up Kids、名盤2ndが25周年ということで。


『Something to Write Home About』(1999、Vagrant)みんな大好きですね。
2009年に10周年デラックス再発が出ていたが、
今夏にはPolyvinyl Recordsより25周年デラックス版が出るそうで、
冒頭曲が初MV化&公開となってます。
(同時にデモ・ヴァージョンも公開→こちら
YouTubeのコメント欄は昔を懐かしむファンの声で大賑わいだ。
Google翻訳で読んでたら「私のクソ青春!」というのがあって笑ってしまった。
雑な翻訳だからこそ伝わるものがあるのな。

ピンポンダッシュをしたガキがそのまま大人になったようなマットの歌声、
バンドの向こう見ずな疾走感、切実なメロディーはいつ聴いてもインパクト大。
若い世代にこそ再発見してほしいアルバムです。

5年前の記事→こちら

2024年7月12日金曜日

The Junipers、ふにゃけてとろける。


英国レスターのまどろみサイケ・ポップ5人組、The Junipersの久々の新曲。
近々リリースとなる8年振りの4thアルバム『Imaginary Friends』からの先行曲とのこと。
このブランクの間にメンバーはYellow Pegsというアシッド・フォークなプロジェクトをやっていたり(→YouTube)、昨年このブログでも紹介したPortable Radio(→こちら)に参加していたりしたようだ。Shindig! Magazine(→こちら)の情報より。
気に入った方はサブスクで色々とディグできるので、是非。

Bandcamp:The Junipers→こちら

2024年7月11日木曜日

Laughing、ゆるギタポに懐柔されて、夏。

 

モントリオールの男女4人組Laughingが先月末にリリースしたデビュー・アルバム『Because It's True』より。
90年代的なだらけ気味ギターポップに、XTC風味なメロディーが映えたところに、
好きなことだけをやってるお気楽サークル感がとどめをさす。
しょんぼりした毎日に、幾ばくかの「ジャングリー萌え」が要る。
そんな人の為の純正インデイー・ロック。
イントロなし、Aメロからグッとくる正統派ギタポが好きな人は「Bruised」(→YouTube)という曲もおすすめしておきます。

Bandcamp:Laughing→こちら

2024年7月8日月曜日

Here For You、2分にも満たないサマー・アンセム。


NYブルックリン発の大所帯7人組バンド、Here For You。
これがデビュー・シングル。
ベルセバやロス・キャンペシーノス!に通じる大所帯らしい青春感がありつつ、
ラストの方は米国らしいエモの発露もあって、なかなか好みです。
涼しげな男女オクターブ・ユニゾンに、ネオアコ同志は飛びついてください。

Bandcamp:Here For You→こちら

2024年7月5日金曜日

Glen Phillips、最高でした。


来日ツアー、名古屋に行ってきました。
速攻チケットを予約したので、一番前でかぶりつき。
最高でした。
前回に引き続きサインをもらい、写真撮ってもらったりでミーハー状態。
(完全プライベートなので公開はしませんが。)
上記楽曲は、昔も今も魂が震える1曲。
昨日も震えました。この曲は僕の葬式で流してください。
最大限の敬意を込めて中川五郎さん対訳冒頭部分を下に。

  きみにすべてを打ち明けようとするぼくと
  黙ったままでいようとするもう一人のぼく
  ぼくがここまで寂しくなったら
  ここでひとりぼっちだったら
  電話で
  きみは安心させてくれる

  そうしたことをぼくはあたりまえだと思わないようにしよう

  
過去のグレン・フィリップス関係の記事→

2024年7月2日火曜日

Jesse Welles、フォークシンガーの鑑。


2012 年以降、Jeh Sea WellsやWellesの名義で作品を発表していたフォークシンガー。
今年になってパレスチナ問題に対するプロテスト・ソングとして書かれた上記楽曲動画をアップしてから、現代のフォーク・ファンに響きまくっている模様。
発火元はTikTokらしい。他にもオリンピックの歌があったりと、実に痛烈。
僕もすぐにファンになった。この不敵な面構え、しゃがれた声、大変魅力的だ。
スタジオ録音版はこちら→YouTube
ざっと歌詞を訳してみましょうか。



「戦争は殺人ではない
 善良な男達は死んでないし
 子供達も飢えていない
 すべての女性達も無事だ

 戦争は殺人ではない
 彼らはそう言う
 悪魔と戦っているのなら殺人もOKなんだと
 「(不慮の)死傷者」という言葉を彼らは使う
 安眠できている退役軍人などいないというのに

 死んだ人々について話そうか
 そう、死んだ人々だよ
 死人は名誉なんて感じないし
 勇士だとも感じない
 復讐されたとも感じない
 墓があってそこに入れればラッキー

 死んだ母親に電話して
 いつ死んだのか、尋ねてみようか
 向こうからは死ぬほどの沈黙しか聞こえない
 死人は話せないから
 でも、その子供達は忘れない
 20年後には後悔することになるかもしれない

 戦争は殺人ではない
 金がかかってるんだ
 クシュナー(ドナルド・トランプの娘婿)も同意している
 あそこはいい不動産なんだよ
 戦争は殺人ではない
 ネタニヤフに聞いてみろよ
 やつは詩篇を持ってるよ
 君への爆弾も
 戦争は殺人ではない
 それは古い砂漠の信仰であり
 国家が認可した正義たる憎しみなのさ
 
 (後略)
 


刻まれる人もいれば、刻まれない人もいるだろう。
それは歌の問題でなく、個人の違いによるものだ。
さて、あなたはどっちでしょう。
人の痛みを知ることができない、もしくは知ることはできても無視できる。
そういうタイプの人には刻まれないのかもしれない。
オールドスタイルでちっぽけな歌だが、
ジェシーさんはきっとそういう人達に向けて歌っているんだと思う。
少しでも何かが変わるように。
ささやかな抵抗として。
まさしくプロテスト・ソング、なのである。

2024年7月1日月曜日

The Kinks、優良カヴァー他にもあるぞい。





体の不調で全然チェックできていなかったamassさんをまとめて閲覧した。
で、今頃みつけた「「ザ・キンクス楽曲のベスト・カヴァー TOP50」 カヴァー曲サイトCover Me発表」(→こちら)。
実にマニア心をくすぐるリストだったので(つまり微妙に・・足らない)、いや、こっちの曲入れるでしょ普通、というのを貼り付けてみた。
ハーマンズ・ハーミッツの「ダンディ」とかカースティ・マッコールの「デイズ」などを敢えて外しているのなら、僕は上記楽曲を確実にエントリーさせる。
ワイキキ・レコードの総大将エレキベースの「スキン・アンド・ボーン」もナイス・カヴァーですよ。