2024年7月2日火曜日

Jesse Welles、フォークシンガーの鑑。


2012 年以降、Jeh Sea WellsやWellesの名義で作品を発表していたフォークシンガー。
今年になってパレスチナ問題に対するプロテスト・ソングとして書かれた上記楽曲動画をアップしてから、現代のフォーク・ファンに響きまくっている模様。
発火元はTikTokらしい。他にもオリンピックの歌があったりと、実に痛烈。
僕もすぐにファンになった。この不敵な面構え、しゃがれた声、大変魅力的だ。
スタジオ録音版はこちら→YouTube
ざっと歌詞を訳してみましょうか。



「戦争は殺人ではない
 善良な男達は死んでないし
 子供達も飢えていない
 すべての女性達も無事だ

 戦争は殺人ではない
 彼らはそう言う
 悪魔と戦っているのなら殺人もOKなんだと
 「(不慮の)死傷者」という言葉を彼らは使う
 安眠できている退役軍人などいないというのに

 死んだ人々について話そうか
 そう、死んだ人々だよ
 死人は名誉なんて感じないし
 勇士だとも感じない
 復讐されたとも感じない
 墓があってそこに入れればラッキー

 死んだ母親に電話して
 いつ死んだのか、尋ねてみようか
 向こうからは死ぬほどの沈黙しか聞こえない
 死人は話せないから
 でも、その子供達は忘れない
 20年後には後悔することになるかもしれない

 戦争は殺人ではない
 金がかかってるんだ
 クシュナー(ドナルド・トランプの娘婿)も同意している
 あそこはいい不動産なんだよ
 戦争は殺人ではない
 ネタニヤフに聞いてみろよ
 やつは詩篇を持ってるよ
 君への爆弾も
 戦争は殺人ではない
 それは古い砂漠の信仰であり
 国家が認可した正義たる憎しみなのさ
 
 (後略)
 


刻まれる人もいれば、刻まれない人もいるだろう。
それは歌の問題でなく、個人の違いによるものだ。
さて、あなたはどっちでしょう。
人の痛みを知ることができない、もしくは知ることはできても無視できる。
そういうタイプの人には刻まれないのかもしれない。
オールドスタイルでちっぽけな歌だが、
ジェシーさんはきっとそういう人達に向けて歌っているんだと思う。
少しでも何かが変わるように。
ささやかな抵抗として。
まさしくプロテスト・ソング、なのである。