2016年12月2日金曜日

ストーンズのブルース・カヴァー新作。



ミック・ジャガーとキース・リチャーズは今年73歳。
B.B.キングだったら『ブルース・オン・バイユー』、ジョン・リー・フッカーだったら『Mr.ラッキー』、バディ・ガイなら『リヴィング・プルーフ』をリリースした年頃だ。
比べてみるなら、バディ・ガイのテンションに近いけど、
大衆音楽としてのブルースの捉え方が全然違うように思う。
年寄りのブルースマンは歌をがなっていても、ブルースの大河にゆったり身を委ねているかのような安定感があるものだが、
この新作のストーンズはものすごく肩に力が入っていて、そわそわしている。
「お〜ら、楽しんでやるぞ」という気概の方が全面に出ている。
むしろ39年前の『ラヴ・ユー・ライヴ』のエル・モカンボの方がリラックスしてたんじゃないかと思うぐらい。
多分これは「俺たちのルーツはブルースなんだ!」という強迫観念が作り出したムードなんじゃないかな。本物のブルースマンなら、そんなこと主張する必要がないが、
ストーンズはやっぱりロック・バンドなので、対外的な主張、作品の生まれる意味とストーリーが大事なのである。
ミック・ジャガーがブルース・ハープ吹きまくって火の玉のようになっているが、
やるならここまでやらなきゃ、という気持ちがあったんだろう。
というわけで、これは決してブルース好きの同胞へ向けられた作品なんかじゃありません。